フッ素塗布
   
  フッ素という言葉は、みなさんご存じかと思います。
フッ素が歯に良いということも、ほとんどの方はご存じですよね。
では、具体的にどのように良いのか? 軽くご紹介します。

  註.
   厳密な表現では「フッ素」ではなく、「フッ化物」と呼びますが、
   当サイトでは便宜上(一般にそう呼ばれているので)「フッ素」と表記させて頂きます。
   純粋な「フッ素」は、単体ではとても不安定な性質で、非常に危険なものですが、
   その「フッ素」を、ある物質(ナトリウム等)と結合させることで安定させ、
   危険の無い性質へと変えたものの総称を「フッ化物」と呼びます。
   他の物質と結合したフッ化物は、全く危険はありませんのでご安心下さい。


フッ素というものは、特別な薬品ではなく、自然界にも多数存在しているものです。
これは、歯や骨の質を強くするもので、毎日の食事の中でも何気なく取り入れているものです。

フッ素は歯の表面から直接取り込まれて、歯を構成する結晶(アパタイト)の一部となります。
フッ素を取り入れた結晶は、通常よりも丈夫になり、むし歯の原因となる酸に対して強い耐性が出来ます。
また、微量の脱灰(むし歯が進む現象)であれば、唾液によって再石灰化(修復する現象)が行われますが、
この再石灰化を促進し、歯のエナメル質(表面の硬い層)の補修がしやすくなります。


フッ素塗布は、歯科で使用する高濃度のフッ化物を使用して、歯全体に浸透させることによって、
歯をより強くし、むし歯予防をするものです。
フッ素塗布をした後は、フッ素が歯に浸透するまで最低1時間は飲食は避けて下さい。


また、歯科医院で販売されてる歯磨き粉はもちろんですが、
市販の歯磨き粉でも、フッ素配合のものが多く出回っていますので、
定期的に歯科医院でフッ素塗布をして、毎日ご自宅でフッ素配合歯磨き粉を使い歯磨きをすることで、
より効果が発揮されてきます。

注意する点は、磨き終わった後の洗口(すすぎ・うがい)をしっかりやり過ぎてしまうと、
せっかく取り入れたフッ素まですすぎ落としてしまいます。
歯磨き粉の成分は人体に害のあるものではありませんので、
歯磨き後の洗口は、軽く(一口洗口が望ましい)するだけにしましょう。
(口の中が気持ち悪くない程度で、なるべく少なくしましょう)

同様に、歯磨き後の飲食も、フッ素が逃げてしまいます。
少なくとも歯磨き後30分(出来れば1時間)は、何も口に入れないようにして下さい。


フッ素塗布の効果持続は人によって様々ですが、長くて半年程度です。
3ヶ月〜半年に一度は歯科医院へ通い、フッ素塗布をすることをお勧めします。
   

フッ素洗口
   
  フッ素の有効性については前述しましたが、最近特に注目されてきたのがこのフッ素洗口です。
これを実施している小学校の統計では、付近の小学校に比べて、
児童一人当たりのむし歯本数が半分以下と言う結果が出ています。

フッ素洗口は、ブクブクうがいが出来るようになってから開始することが望ましいです。
のどのガラガラうがいではなく、お口の中でブクブクさせるうがいです。(歯に染み込ませるのが目的です)

お子さんに水でブクブクとうがいの練習をさせて、上手に出来る事を確認してから始めさせましょう。
口に含んだ水をほぼ全て吐き出せれば大丈夫です。
これは、フッ素洗口液は基本的に安全なものですが、頻繁に誤って飲み込んでしまうと危険が出てくるためです。

上記フッ素塗布と合わせることで、むし歯予防効果は何倍にも上がります。

当院でもフッ素洗口を推進をしております。
ご希望の方、詳しい話しを聞きたいと思われる方はお気軽に当院スタッフへお申し付け下さい。
   

シーラント(予防填塞)
   
  上のフッ素に比べるとあまり馴染みの無い言葉かも知れませんが、
フッ素による予防と並ぶむし歯予防の方法です。

これは簡単に言ってしまうと、奥歯の噛み合わせ面の溝を埋めてしまう方法です。

奥歯の噛み合わせ面は、深い溝が入り組んだ形状になっています。
溝になっているため、食べ物や歯垢が溜まりやすく、歯磨きしても落としきれないケースが多々あります。

そこで、このようなむし歯になりそうな溝をあらかじめ埋めてしまって溝を浅くしてしまおうというのです。

こうすることによって、磨きやすく異物が溜まりにくい状態にするわけです。


注意する点は、この処置は噛み合わせ面の予防なので、側面には効果ありません。
歯磨きはもちろんのこと、フッ素塗布などと併用することでむし歯予防効果を上げましょう。
   

P M T C
   
  Professional Mechanical Tooth Cleaning の略で、
名前の通り、プロによる機器・機材を用いた歯の掃除です。

これは歯科医院にておこなう、お口の中の大掃除のようなもので、
食べかすや歯垢はもちろん、歯石や着色までも取り除くものです。


歯垢をそのまま放っておくと、唾液中のミネラルと結合して、
細菌バイオフィルムという物を作り出し、歯垢を覆い隠してしまいます。
バイオフィルムで守られた歯垢は歯石へと変わり頑固なものになりますし、
更に表面に歯垢が付着し、放っておくと二重三重のものへと大きくなっていきます。
むし歯の原因菌の巣窟になってしまいますので、早々に取り除かなくてはなりません。
しかし、このバイオフィルムは、通常の歯磨きでは取り除くことが出来ません。
こうしたバイオフィルムも取り除いてしまうのがPMTCです。

お口の中のむし歯の原因を除去するので、むし歯予防には大きな効果が見られます。


当院では、着色除去を含め、PMTC終了後にフッ素塗布(費用込み)をおこなっております。

歯石等はいくら歯を磨いても、磨き残し(歯と歯の間等)から増えていきます。
定期的に(3〜6ヶ月に一度)クリーニングすることをお勧めします。
   

定期検診
   
  「歯科医院はむし歯の治療をするところ」だけではありません。
むし歯の無い状態でも歯科医院へ通うことで、むし歯の無い状態を維持出来るのです。

また、むし歯は早期に発見すればするほど、通院日数・治療時間・費用・苦痛全てが低く抑えられます。
そのためには、定期的に歯科医院でチェックするのが一番です。

そのついでに、PMTC等をおこなえば、
「歯科医院へは良く行くが、一度もむし歯になったことが無い人」
になれるかもしれませんね。

8020運動「80歳になっても20本の自分の歯」を目指しましょう。
   

食事の注意
   
  むし歯というものの根本的要因は、口に取り入れる食事にあるわけですが、
いくつか注意しておくことを挙げてみます。


糖分はむし歯の養分です。 甘いお菓子やジュースは極力控えましょう。
また、ジュース等を口にするとむし歯菌が繁殖しやすい状態になりますので、
少しずつダラダラと飲み続けていると、常にむし歯菌が過ごしやすい環境になってしまいます。


「良く噛め」と、昔から言われていますが、あまり力を使って噛むことは、
大人になってからはしないほうが良いと言われます。
子供の頃は、そうすることによってあごが鍛えられるので強く噛んだほうがいいのですが、
大人になるとあごの成長は止まり、逆に力を入れすぎることによって、あごの調子が悪くなることがあります。
大人になったら、力を入れる変わりに、程々の力で回数を増やして何度も噛むようにして下さい。

口にものを入れた後には、なるべく歯磨きするようにしましょう。
むし歯菌の繁殖が最低限に抑えられます。
(唾液が出ない・少ないと、医師・歯科医に診断された方は、医師・歯科医の指示に従って下さい。)
   

小児の予防
   
  乳歯というものは、どうせ生え替わるからと言う理由で、
むし歯になっても、放置されがちなケースが多く見られます。

しかし乳歯は、永久歯が生えてくる際に、歯と歯の間の隙間を保って、
正しい位置に導くという大切な役割を持っています。
そのため、乳歯が欠けたり腐ったりすると、永久歯がきれいに並んで生えなかったり
永久歯の成長に悪影響が出て、質の悪い歯が生えてくることがあります。

そんな大切な乳歯は、永久歯に比べると大きさも厚さも半分程度なので、
歯の表面のエナメル質や象牙質も半分程の厚さしかありません。
更に、再石灰化する力も弱いので、むし歯に対しての耐性は極めて乏しいのです。

しかし、薄く冒されやすい性質を逆にとれば、この時期にフッ素を塗布すると、
通常より早く効率的にフッ素を確実に吸収してくれます。
悪いものに侵されやすい反面、良いものにも満たされやすいのです。



以下に歯磨きや予防のポイントについて年齢別にご紹介します。



生後半年未満

 舌の上に、白っぽいカスが溜まりますので、湿らせたガーゼ等で取り除いてあげて下さい。



生後半年くらいから

 前歯が生えてくる時期です。
 歯にも汚れが付きますので、ガーゼ等で取り除いてあげて下さい。
 授乳後に取り除くのが望ましいので、授乳したまま寝かせないことも大切です。



1歳くらいから

 歯ブラシを持たせて歯ブラシに慣れさせてください
 マネをして、自分で磨くようになりますが効果は期待出来ません。しっかり磨いてあげて下さい。



2歳くらいから

 この頃になったら、指しゃぶりは卒業させましょう
 指しゃぶりは、歯並びやあごの形に影響を与えることがあります。
 子供さん自身での歯磨きは、まだまだ不十分ですのでしっかり磨いてあげて下さい。



3歳くらいから

 乳歯20本がほぼ生え揃う時期です。
 自分でずいぶん歯磨きが出来るようになる頃です。
 出来るだけ自分で磨かせるようにして下さい。
 但し、まだ上手に磨けないので、必ず仕上げ磨きをしてあげて下さい。



5歳くらいから

 毎食後、必ず歯磨き
させて習慣づけて下さい。
 磨き終わったら、必ず仕上げ磨きをしてあげることも忘れないで下さい。



6歳くらいから

 この頃に、最初の永久歯である第一大臼歯(6歳臼歯)が生えてきます。
 この6歳臼歯は、

 ・ 生え始めてしばらく背が低く、歯ブラシが届きにくい。
 ・ 噛み合わせ面の溝が深く複雑なため、食べかすが溜まりやすい。
 ・ 生えてすぐの頃は歯質が弱いのでむし歯の耐性が低い。


 等の理由で、非常にむし歯になりやすい歯ですので注意して下さい。
 歯磨きを念入りにするのはもちろんですが、フッ素塗布やシーラントは、
 この6歳臼歯に非常に効果的です。 なるべく生えてから早いうちにしてみましょう。



9歳くらいまで

 このくらいの歳までは、上手く歯磨きすることはできません。
 仕上げ磨きやチェックをしっかりしてあげて下さい。
   
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